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詩のそばで逍遙している

窓のまえに据えた机で作業をしている。
陽射しが 暖かい。

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干した傘に 桜の花片がひとつ ついていた。
台湾栗鼠が 屋根や枝や露台を 駆け抜ける。

作業の合間にひじきを煮、図書館で借りた本を読む。
『いつもそばに本が』(田辺聖子たち73人・著/首藤幹夫・撮影/ワイズ出版・刊)
物書き絵描き役者らが自身の読書体験を語る、新聞に連載されていたものをまとめた一冊。

モノクロームの写真には 書物に埋もれた寝床から半身を起こし
笑顔のほっぺたがぷっくらとして艶々しい吉本隆明
若いころに出逢った 宮沢賢治や高村光太郎の詩について言葉を紡ぐ。

いまでも 詩の周辺で思い惑っている自分が
はじめて手にした詩集は中学生の時、親にねだった『智惠子抄』で
教科書で読んだのか? 「あどけない話」や「レモン哀歌」と、
気を病んだ智惠子さんの切り絵が強く重く残り、夕食後に両親の仕事場へ顔を出してお願いした。
ちいさくて安価な文庫判を想像していたら
龍星閣版の凾入り朱色のクロス張りに金の箔押しが出入りの本屋さんから届き、驚いた記憶
表紙を繰ると 智惠子さんの切り絵が広がり 活版印刷で黒く大きく
がっしりと刻印された文字が 肌色の紙に きちっと並んでいた。

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光太郎と智惠子の 力強く 繊細で 真っ直ぐな情感が その装幀 造本にあらわれている
海がわの書架で しずかに ひかりを湛え すっくと立つ背表紙はいまも美しい。

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自分と外界とをつなぐ窓から顔を出し 風に目を洗い 深く息をする
櫻若葉の間に在る 明日は 雨らしい。














冬の味など

       
夜気が冷たい帰り道、
裏駅の御成通りは人影もまばらで、ほとんどのお店がお仕舞い
海からの風音だけが聞こえる。
灯りが煌々と点っている間口の広い店先に惹かれ、
歩調をゆるめ 紹興酒の甕やら大小の酒瓶 調味料などを眺める。
軒のはしに酒粕の袋が積まれた箱が目にとまり、求める。
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御成通りにある高崎屋本店は
「NO LIQUOR, NO LIFE !」なんてTシャツを作ったり
お店の横っちょには角打ちがあったり、商品には濃やかな手書きの
説明が添えられていて家業を楽しんでいる様子が伝わる、酒屋さん。
レジを打つおじさんは大事そうに、こわれものを取り扱うように
「新米が獲れるのを待って作った新酒の搾りたてだからね、柔らかいからね、
焼いて食べるのはむずかしいけど、お味噌汁とか甘酒とか
春鹿の純米大吟醸から取った酒粕だから香りが良いよ、美味しいよぉ、
レシピ入れときますね」と、レジを打つあいだもずっと商品説明、
期待は高まり好い買い物をした気分になる。

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年内の作品展が ひと段落ついたので、台所に立ち 作りおきのおかずを作る。
酒粕の袋に添えられたレシピには
“味噌6、酒粕4の割合で味つけをして味噌入り粕汁もおすすめです”と。
いつもより味噌を少なめにした味噌汁に酒粕を入れ、
美瑛の叔父から届いたかぼちゃ、にんじん、大根、ごぼうをつかい
一汁三菜の昼食とする。
滋味深くまろやかな粕汁に、温まる。

  これに気をよくして後日、高崎屋本店で今度は春鹿の屠蘇酒を求め、
  実家への手土産とする。
  いわゆる屠蘇散の入った「お屠蘇」を飲んだことがないので、ごちらも楽しみ。

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   今年も二階堂にあるアトリエ・キカでのクリスマス・ギフト展に参加
   させて頂いた。
   陽射しの暖かな日、歩いて搬出に出掛ける。
   店主の麻里子さんからパティスリーRのリーフパイを頂く。
   おままごとみたいに リーフパイと 市場の平井君から求めた
   金柑をならべておやつに。

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           静かに 穏やかに 12月が 暮れていく




夏味

この7月も 二階堂のAtelier Kikaで
ガラス作家アキノヨーコさんとの作品展をさせていただいた。
       
Patisserie Rの玲子さんが作る、会期中特製のお菓子は
イタリアの“カッサータ”、アキノさんのうつわにメレンゲの白鳥が。

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玲子さん曰く、「白鳥はふじちゃん(わたくし)のイメージ」だそうで、???が頭上湖面にぷかぷか浮かぶ。

すでに汗だくの朝、
電話に出ると、お祭りの笛太鼓が大音量で鳴り、「いま 北鎌」と東京の友人から。
北鎌倉の御菓子司こまき の水羊羮を手土産に作品展に来てくれた。

『作家のおやつ』(コロナ・ブックス編集部/平凡社)のなかに

この店の菓子“苔清水”のすがたが美しく、あこがれていた。
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川端康成は「こまき」の水羊羮をことのほか好んだと云う。
瑞々しくきりりと角の立った薄墨色は、涼やかな風をまとい
舌のうえでとけていく。
さらりとした甘味がのどを通り腑に落ちる。

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この夏初、市場で求めた水茄子を糠漬けに。
糠床から出したての鮮やかな茄子紺は、あっと云う間にその彩度を失ってしまう。急げ。
かじるとパリッと皮が弾けて甘みが広がる。
練り芥子をつけて噛みしめる。

Atelier Kikaの麻里子さんはお料理のセンスも絶妙で、
食いしん坊のわたくしの顔を見ると、「これ、食べる?」と いろいろ ちょこちょこ出してくれる。
トマトとルビーグレープフルーツのサラダ、ひじきとアボカドのサラダ、いただきもののチョコパン、
(お弁当のおかずにと)ひじきの煮物、幼なじみの神主さんが持ってきたお供え餅(夏祭り用?)、“クルミッ子”の切り落とし、スイカ、冬瓜、ベルグフェルドのパン…

去年の搬入時、おにぎりを頬張っていると、セロリの味噌汁を出してくれて、初めての味。
今では自分でも作る定番の具になった。

鰹のサクを厚く切り分け、半分はお刺身で晩酌のお伴に、もう半分は
頂いた冬瓜と玉葱人参セロリなどと一緒にスープ煮にして。
「はい」と手渡された、かぼちゃサラダと朝食にいただく。
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夏生まれの所為か、花火やお祭り、夏に美味しい夏にしか食べられないものが特に好きだ。

頂いたアレコレで気合いを入れ、猛暑の日盛り、由比ヶ浜から二階堂まで歩いて通った。

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